仮想通貨関係では法人税の計算において、活発な市場が存在する仮想通貨については、保有する通貨の期末の評価額が今までの取得価額での評価に変えて、時価評価により評価することとされていました。少なくとも日本において上場する通貨は全て「活発な市場が存在する」ということができるのではないでしょうか。上場株式のように保有目的の応じて取得価額での評価と時価評価を選択することができるわけではありませんので、今のような市場の状況ですと多くの事業者には喜ばしい改正なのでしょうが、市場が改善した際には、長期で保有することを目的としている事業者にとっては少し厳しい改正かと思います。
以下は税制改正大綱からの該当部分の引用になります。
(2)法人税における仮想通貨の評価方法等について、次のとおり時価法を導入する等の措置を講ずる。
① 法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。
② 法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
③ 仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
④ 法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成 31 年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税に ついて適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記① 及び④を適用しないことができる経過措置を講ずる。
ただし、税制改正大綱はあくまで来年度の税制改正の方針をまとめたものであり、来年の国会で可決されるまでは改正されると決まったわけではありませんのでご注意ください。