米連邦捜査局(The Federal Bureau of Investigation:FBI)が「豚殺し(Pig butchering)」と呼ばれる暗号資産詐欺の急増について警告を発した。
「豚殺し」は元々「殺猪盤」と言い、中国で流行したネット用語であり、ロマンス詐欺のことである。詐欺師がLinkedinなどのSNSやTinderなどのマッチングアプリでターゲットを見つけて、ターゲットに恋愛感情を抱かせた後、暗号資産やFXなどの投資に誘って、口座にお金を振り込ませる。その後、暗号資産の価格が上がっているように見せかけ、被害者にさらに入金させる。最後に詐欺師は振り込まれたお金と共に消える。
殺猪盤とは「豚に餌を与えて肥え太ったところを殺して食べる」という意味だ。ターゲットに儲かっているように見せてお金を何度も入金させるのが、豚を肥え太らすのに似ていることから、こう呼ばれるようになった。
「豚殺し」は2017年頃に中国で急拡大した。最近、この種の詐欺が産業化している。詐欺組織の多くはラオス、カンボジア、ミャンマーおよび東南アジアの他地域で、新たなターゲットを見つけるために24時間体制で稼働する「詐欺センター」を設置・運営している。.
シンガポールに本拠地を置く非営利団体グローバルアンチ詐欺組織(Global Anti-Scam Organization)の広報担当グレース・ユエン(Grace Yuen)氏は「被害者が急増している。詐欺は巧妙になり、正規の暗号通貨取引サイトになりすましている」と説明する。
大手暗号取引所コインベース(Coinbase)も8月18日、同社のオフィシャルブログ(
https://blog.coinbase.com/security-psa-sha-zhu-pan-pig-butchering-investment-scams-9998ee163cae)で「豚殺し」について、「コインベースは世界中の法執行機関のパートナーと協力して、一連の標的型サイバー攻撃からユーザーを守る。また、最近のマッチングアプリで被害者を勧誘し、外国為替や暗号通貨取引プラットフォームに誘導する詐欺には十分に注意すべきだ。投資詐欺やロマンス詐欺は暗号通貨エコシステムに限ったものではないが、暗号通貨取引の不可逆性により壊滅的な被害をもたらす可能性がある。この種のソーシャルエンジニアリング詐欺に警戒するよう弊社はユーザーに呼びかけ続ける」と警告した。日本でもロマンス詐欺が多発しており、8月8日、大阪府警は送金役の日本人やガーナ人ら計15人を摘発した。
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